2026年、ヨーロッパへの入国手続きが変わりました。EES(出入国記録システム)が4月10日以降、導入国の全ての国境検問所で運用されています。
さらにETIAS(欧州渡航情報認証システム)が2026年第4四半期に開始予定で、運用が始まればビザ免除国の日本人も事前のオンライン申請が必要になります。手数料は20ユーロ、有効期間は3年です。
「ヨーロッパは敷居が高い」と言われる理由は複数あります。制度が変わったいま、その中身がどう変わったのかを含めて検証します。
2026年の制度変更
- EESは2026年4月10日以降、全ての国境検問所で運用(事前申請は不要)
- ETIASは2026年第4四半期に開始予定、手数料20ユーロ、3年有効
- 18歳未満と70歳以上はETIASの手数料が無料
- ETIASの認証は通常4日以内、追加審査の場合は30日程度

1.
文化の違い
最も漠然とした理由ですが、実務に落とすと対処可能な項目に分解できます。
レストランで席に案内されるまで待つ、会計はテーブルで頼む、店員に挨拶してから用件を言う。こうした作法は国ごとに違いますが、数は限られています。
店に入って最初に挨拶する、という一点を守るだけで、多くの国で扱いが変わります。無言で商品を手に取る行為は、失礼と受け取られる地域がある。
チップの有無も国によって異なります。サービス料が含まれている国、端数を切り上げる程度の国、一定割合を渡す国。渡航先の慣習を出発前に一度調べておけば済む話です。
2.
言語の壁
英語が通じるかどうかは、国と地域と世代で大きく変わります。
北欧やオランダでは英語が広く通じる一方、フランス、イタリア、スペインの地方部では通じにくいことがあります。都市部の観光地に限れば、たいていの国で英語だけでも動けます。
現在は翻訳アプリのカメラ機能でメニューや標識を読めるため、以前ほどの障害ではありません。
ただし挨拶と基本的な言葉だけは、現地語を使うほうが応対が変わります。こんにちは、ありがとう、すみません。この3語で十分です。

3.
費用
航空券は確かに高い。ただし工夫の余地があります。
日本からヨーロッパの主要都市までの往復航空券は、直行便で10万円台後半から、経由便なら10万円前後という価格帯が目安になります。時期による変動が大きく、夏季や年末年始は倍近くになることもあります。
滞在費は国によって差が大きい。北欧や西欧の主要都市は物価が高い一方、中欧や東欧、南欧の一部は日本と同程度か、それより安く収まります。
ポルトガル、ポーランド、チェコ、ハンガリー、クロアチア。これらの国なら、宿泊費と食費が西欧の半分程度に収まることもあります。初めてのヨーロッパで費用を抑えたいなら、行き先の選択がいちばん大きい。
4.
時差と
フライト時間
日本からヨーロッパまでは、直行便で12〜14時間程度。時差は7〜8時間です。
この条件自体は変えられません。ただし影響を減らす工夫はあります。
滞在日数が短いほど、時差の負担は相対的に大きくなります。3泊程度の旅程では、体が慣れる前に帰国することになる。最低でも5泊以上を確保できると、実質的に使える日数が増えます。
到着日に予定を入れないことも有効です。初日を移動と休息に充てると、翌日以降の行動の質が変わります。

5.
安全性
凶悪犯罪の発生率で見れば、西欧の主要都市は世界的には安全な部類に入ります。
問題になるのは軽犯罪です。スリ、置き引き、詐欺。観光客が集中する場所では日常的に発生しています。
対策は限られた数の習慣に集約されます。貴重品を分散して持つ、リュックを前に抱える、路上で話しかけてくる人物と長く会話しない、カフェの席にスマートフォンや鞄を置かない。
これらは日本での習慣と大きく異なる部分です。日本の感覚のまま行動すると被害に遭いやすい、というのが実態に近い。
6.
入国手続き
ここが2026年に変わった部分です。
EESは、シェンゲン圏29か国の国境検問所で、入出国の記録をデジタルに登録する仕組みです。事前申請は不要で、到着時に顔写真と指紋が登録されます。
利用者側の手間はほとんどありませんが、導入初期は入国審査に時間がかかる可能性が指摘されています。乗り継ぎ時間に余裕を持たせておくほうが安全です。
ETIASは事前申請が必要な制度です。2026年第4四半期の開始予定で、対象はシェンゲン協定加盟29か国にキプロスを加えた30か国。手数料は20ユーロ、18歳未満と70歳以上は無料です。
認証は一度取得すれば3年間有効で、その間は何度でも渡航できます。ただしパスポートの有効期限が3年未満の場合は、そちらに合わせて短くなります。
申請から認証までは通常4日以内とされていますが、追加審査となれば30日程度かかる可能性があります。開始後は、渡航の1か月前には申請を済ませておくのが安全です。
7.
他の旅行先との
比較
アジアやハワイと比べると、確かに手間も費用もかかります。
ただし比較する対象を揃える必要があります。ヨーロッパの利点は、1回の渡航で複数の国を回れることです。
シェンゲン圏内は原則として国境審査なしで移動できます。鉄道や域内の格安航空を使えば、1回の航空券で3か国を回ることも可能です。1か国あたりに換算すれば、費用の印象は変わります。
日数を長く取れるなら、この利点が効いてきます。逆に3泊程度しか取れないなら、近距離の行き先のほうが満足度は高い。
敷居を下げる
順番
初めてのヨーロッパで押さえる5点
- 中欧・東欧・南欧から始める(費用が抑えられる)
- 最低5泊、できれば7泊以上を確保する
- 到着日に予定を入れない
- ETIAS開始後は渡航1か月前に申請する
- 貴重品の管理方法を日本の習慣から切り替える
行き先を変えれば半分は解決する
ヨーロッパの敷居が高いとされる理由のうち、文化と言語の壁は準備で下がります。費用は行き先の選択で変わり、時差は日数の確保で吸収できる。
2026年に変わったのは手続きの部分です。EESは到着時に自動で処理され、ETIASは開始後に事前申請が必要になります。20ユーロで3年有効という条件なので、負担としては大きくありません。
検討しているなら、まず行き先を中欧か南欧に絞り、7泊以上の日程が組めるかを確認してください。その2点が揃えば、残りの障害はかなり小さくなります。
出典:EES・ETIASに関する2026年時点の公開情報。制度は変更される可能性があるため、渡航前に最新情報を確認してください。





