Nutri-Scoreとは?ヨーロッパの栄養スコアA〜Eの仕組みと2024年の改正

ヨーロッパのスーパーで食品のパッケージを見ると、AからEまでのアルファベットが色分けされて並んでいることがあります。Nutri-Score(ニュートリスコア)という栄養表示です。

緑のAが最も良く、赤のEが最も悪い。裏面の成分表を読まなくても、栄養面の位置づけが一目で分かる設計になっています。

ただしこの表示、見た目ほど単純ではありません。何を評価していて何を評価していないのか、そして2024年から計算式が変わった点まで押さえておく必要があります。

Nutri-Scoreの基本

  • A〜Eの5段階。緑のAが最良、赤のEが最低
  • 導入国:フランス、ベルギー、スイス、ドイツ、ルクセンブルク、スペイン、オランダ
  • 義務ではなく任意表示
  • 2024年から新しい計算式を採用(全体の30〜40%の製品でスコアが変わる見込み)

1.
どこの国で
使われているのか

発祥はフランスです。2017年に導入され、その後、ベルギー、スイス、ドイツ、ルクセンブルク、スペイン、オランダへ広がりました。

重要なのは、いずれの国でも任意表示だという点です。メーカーが採用を決めた製品にだけ付きます。したがって、同じ棚に並ぶ商品でも、表示がある製品とない製品が混在します。

表示がない製品が悪い評価というわけではありません。ただし、スコアが低く出る製品のメーカーが表示を避ける動機はあります。この非対称性は、制度の弱点として指摘されてきました。

EU全体で統一した包装前面表示を導入する議論は続いていますが、加盟国間で意見が分かれており、決着していません。

2.
何を評価して
いるのか

計算は、100gあたりの成分を点数化して行われます。

マイナスに働くのは、エネルギー、飽和脂肪酸、糖類、ナトリウム(塩分)。プラスに働くのは、食物繊維、たんぱく質、果物・野菜・ナッツ・豆類・植物油の含有量です。

差し引きの点数を5段階に割り当てたものがA〜Eになります。同じカテゴリーの製品を比べるための指標として設計されているため、異なるカテゴリー同士の比較には向きません。

たとえば植物油と朝食用シリアルを、スコアだけで比較しても意味がない。用途も一度に食べる量も違うためです。同じ棚のシリアル同士を比べる、という使い方が本来の想定です。

3.
2024年の改正で
何が変わったか

計算式は2023年に見直され、ベルギー、ドイツ、スイス、オランダでは2024年1月1日から新しい式が使われています。フランスは2025年3月に官報で公布し、2年間の移行期間を設けました。

改正の方向は、糖分と塩分の評価を厳しくすることです。具体的には次のような変更が入りました。

対象変更の内容
人工甘味料入りの炭酸飲料BからC〜Eへ降格
加糖の乳飲料・飲むヨーグルトAやBから降格
糖分の多いシリアルAからCへ降格
塩分・糖分の多い加工食品評価を引き下げ
脂質の多い魚、オリーブ油評価を引き上げ
全粒穀物製品、家禽肉評価を引き上げ

影響は小さくありません。全体の30〜40%の製品でスコアが変わる見込みとされています。

注目すべきは甘味料の扱いです。従来は砂糖を減らして人工甘味料に置き換えるとスコアが上がりましたが、改正後は甘味料自体にマイナス点が付きます。「糖類ゼロ」と表示された飲料の評価が下がったのは、この変更によるものです。

4.
表示の
読み方

旅行や滞在中に使うなら、いくつか注意点があります。

Nutri-Scoreを使うときの注意

  • 同じカテゴリーの製品同士で比べる
  • 違うカテゴリー間の比較には使わない
  • 2024年以降に印刷されたパッケージは新基準
  • 表示がない=評価が低いとは限らない
  • あくまで栄養成分の指標で、添加物や加工度は評価対象外

最後の点は特に重要です。Nutri-Scoreは栄養成分だけを見ていて、添加物の種類や加工度は評価に含まれません。

そのため、超加工食品でも成分バランスが良ければAが付くことがあります。逆に、伝統的な製法で作られたチーズやオリーブ油が、脂質や塩分の多さでDやEになることもある。

この点はフランス国内でも議論になってきました。チーズや生ハムといった伝統食品の生産者からは、制度への反発が出ています。

5.
日本にはない
制度

日本には同等の包装前面表示がありません。栄養成分表示は裏面に義務付けられていますが、総合評価を一目で示す仕組みはない。

制度の有無には、利点と欠点の両方があります。一目で分かる表示は選択の手間を減らしますが、複雑な栄養の話を1文字に圧縮することへの批判もある。どちらが正しいかは決着していません。

ヨーロッパを旅行する人にとっては、現地の食品を選ぶ際の手がかりとして使えます。成分表のフランス語やドイツ語を読み解くより、アルファベットを見るほうが速い。

6.
制度への
批判と論点

Nutri-Scoreは普及する一方で、批判も受けてきました。論点は整理しておく価値があります。

第一に、一度に食べる量が考慮されていない点です。評価は100gあたりで計算されるため、100g単位で食べる食品と、数グラムしか使わない調味料が同じ物差しで並びます。オリーブ油やスパイスのように少量で使うものは、この計算方法では不利になりやすい。

第二に、伝統食品への影響です。フランスのチーズ、スペインの生ハム、イタリアのオリーブ油。長い歴史を持つ食品が、脂質や塩分の数値によってDやEと表示される。生産者からは、製法や文化的背景を無視した評価だという反発が出ています。

第三に、任意表示であることの限界です。スコアの低い製品ほど表示しない動機が働くため、棚に並ぶ表示は良いスコアに偏る可能性があります。制度の設計としては、この偏りを防ぐ仕組みがありません。

これらの批判があるからといって、制度が無意味というわけではありません。ただし「Aだから健康に良い」という読み方は、制度の設計意図を超えています。同カテゴリー内での相対評価、という枠を外さずに使うのが正確な使い方です。

隣の商品と比べるときだけ役に立つ

Nutri-Scoreは、フランス発の任意表示で、現在7か国で使われています。A〜Eの5段階で栄養成分を評価し、2024年からは糖分と甘味料の評価が厳しくなりました。

使い方の要点は一つです。同じカテゴリーの製品を比べるときにだけ見る。カテゴリーをまたいだ比較や、加工度の判断には使えません。

ヨーロッパのスーパーで迷ったら、同じ棚の製品でアルファベットを見比べる。裏面のフランス語を解読するより、はるかに速い。

出典:ジェトロ「栄養表示『ニュートリ・スコア』を改正、糖分、塩分の評価を厳格化」(2025年3月)/Santé publique France

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