海外旅行に必要な英語力はどのくらい?場面別の目安と、足りない分の埋め方

海外旅行に必要な英語力は、場面によってまったく違います。

レストランで注文するだけなら単語の羅列で通ります。一方、フライトが欠航して振替を交渉する場面では、条件を聞き取り、要望を伝え、相手の提案を理解する必要がある。同じ旅行の中に、要求水準がまるで違う場面が混在しています。

「旅行英語」をひとまとめに考えると、準備の優先順位を誤ります。

場面別の要求水準

  • 定型のやり取り(注文・買い物・チェックイン):中学英語で足りる
  • 情報を聞き取る(アナウンス・案内):やや上
  • 交渉・トラブル対応:ここだけ難易度が跳ね上がる
  • 対策は「全体の底上げ」ではなく「頻出の型を覚える」
海外での日常英会話のイメージ

1.
定型のやり取りは
中学英語で足りる

レストラン、店舗、ホテルのチェックイン。これらは会話の流れが決まっています。

聞かれることは限られている。何人か、何を注文するか、支払いは現金かカードか、部屋の希望はあるか。答え方も決まっています。

必要なのは文法の正確さではなく、頻出する数十の表現を知っていることです。「Could I have …」「Do you have …」「How much is …」。この程度の型を10個も持っていれば、定型の場面は通ります。

発音の正確さも過大に心配されがちですが、相手は文脈から推測します。メニューを指差しながら数を言えば、たいてい通じる。

2.
聞き取りのほうが
難しい

話すことより聞くことのほうが負担が大きい。自分の発話は準備できますが、相手の発話は選べないためです。

空港のアナウンス、駅の案内、店員の早口の説明。いずれも教材の音声より速く、訛りもあります。

対策は二つ。一つは、聞き返す表現を確実に持っておくこと。「Sorry, could you say that again more slowly?」を言えるだけで、状況が変わります。

もう一つは、聞き取れなかったときに書いてもらうことです。「Could you write it down?」。数字や固有名詞は、音より文字のほうが確実です。

スマホの翻訳アプリを使って海外で会話するイメージ

3.
難易度が跳ねるのは
トラブル対応

ここだけ性質が違います。

フライトの欠航、荷物の紛失、体調不良、盗難。これらの場面では、相手の説明を正確に理解し、自分の状況を説明し、要望を伝える必要があります。

しかも、精神的に動揺している状態で行うことになる。普段より能力が落ちます。

対策としては、起こりうる場面の表現を事前に用意しておくことです。全部を覚える必要はなく、スマートフォンのメモに書いておくだけで十分。読み上げても、画面を見せても構いません。

用意しておきたい5文

  • My flight was cancelled. What are my options?
  • My baggage did not arrive. Here is my claim tag.
  • I need to see a doctor.
  • My wallet was stolen. I need a police report.
  • Could you write down the details?

4.
CEFRで見た
目安

言語能力の国際的な指標であるCEFRに当てはめると、場面ごとの水準はこう整理できます。

場面CEFRの目安
注文・買い物・チェックインA1〜A2
道を尋ねる・簡単な会話A2
案内やアナウンスの聞き取りA2〜B1
トラブル時の交渉B1以上
現地の人と雑談を続けるB1〜B2

旅行の大半はA2の範囲に収まります。英検でいえば準2級前後、中学卒業程度の文法と語彙があれば届く水準です。

問題は、トラブル対応だけがB1以上を要求することです。発生確率は低いが、発生したときの影響が大きい。ここに備えるかどうかで、旅行の安全度が変わります。

海外渡航の準備をするイメージ

5.
翻訳アプリで
埋まる範囲

翻訳アプリの精度は実用水準に達しています。使える場面と使えない場面を分けておきましょう。

使えるのは、書いてあるものを読む場面です。メニュー、案内表示、薬のパッケージ、契約書の確認。カメラをかざせば訳文が出ます。

また、一方向の伝達も問題ありません。伝えたいことを入力して画面を見せる。時間はかかりますが確実です。

使いにくいのは、テンポの速いやり取りです。会話のたびに端末を操作していると、相手が離れていきます。

通信が使えない場面もあります。オフライン用の言語データを事前にダウンロードしておくこと。これを忘れると、肝心なときに使えません。

6.
準備の
優先順位

限られた時間で準備するなら、順番があります。

第一に、聞き返す表現。これが言えるだけで、聞き取れない場面の大半が処理できます。

第二に、トラブル時の表現。発生確率は低くても、備えの有無で結果が変わる領域です。

第三に、数字。値段、時刻、便名、部屋番号。旅行中に最も頻繁に登場し、聞き間違いが直接の損害につながります。

第四に、その旅行に固有の語彙。食事制限があるなら食材の名前、特定のスポーツをするならその用語。

文法の学習は、この4つの後です。旅行までの期間が短いなら、文法に時間を割く優先度は高くありません。

英語が
通じない国も多い

前提として確認しておくと、英語が通じる度合いは国によって大きく違います。

北欧やオランダでは広く通じる一方、フランス、イタリア、スペインの地方部、中南米、東アジアの一部では通じにくい場面があります。

英語が通じない国では、現地語の挨拶と数字を覚えるほうが役に立ちます。英語力を上げるより、その国の言葉を10語覚えるほうが実用的な場合がある。

渡航先を決めたら、その国の英語の通用度を調べてから準備の方針を決めてください。

直前の1週間で
できること

出発まで時間がない場合の優先順位を示します。

初日に、聞き返す表現とトラブル時の表現をスマートフォンのメモに書き出す。読み上げても画面を見せても構わないので、覚える必要はありません。

二日目に、数字の練習をする。1から100まで、それと時刻と日付。値段と便名と部屋番号は旅行中に最も頻繁に出てきます。

三日目に、渡航先の言語で挨拶を5語覚える。こんにちは、ありがとう、すみません、はい、いいえ。英語が通じない国ほど効果があります。

四日目以降は、翻訳アプリのオフラインデータをダウンロードし、宿と空港の経路を調べる。

文法の復習は、この後です。1週間で文法を仕上げることはできませんが、上記の4つは1週間で終わります。

困るのはトラブルのときだけ

旅行の大半はA2、中学英語の範囲に収まります。難易度が跳ねるのはトラブル対応だけです。

準備するなら、聞き返す表現とトラブル時の表現をメモに書き出すところから始めてください。文法の復習より先に、この2つで差が出ます。

Which way?

留学とワーホリ、自分に合うのはどちらか。

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