イタリア人は週に何回パスタを食べる?調査データで見る頻度と、食卓でのパスタの位置づけ

イタリアで2023年に行われたYouGovの調査では、パスタを食べる頻度の平均は週3.7回でした。「毎日かほぼ毎日」と答えた人が20%、「週4〜5回」が30%、「週2〜3回」が37%。半数がほぼ1日おき以上に食べている計算です。

イタリア人は毎日パスタを食べている、というイメージはおおむね当たっています。ただ、食べ方は日本で想像するものと少し違います。この記事では、調査の数字と食卓での位置づけから、イタリア人とパスタの距離を見ていきます。

数字で見るイタリア人とパスタ

  • 平均は週3.7回(YouGov、2023年、18歳以上1,057人)
  • 「毎日かほぼ毎日」が20%
  • 1人あたりの年間消費量は23kg超で世界一
  • 好きな形の1位はスパゲッティ(23%)、2位はペンネ(12%)

週3.7回という数字の中身

イタリアのパスタ

YouGovの調査は、2023年9月に18歳以上のイタリア人1,057人を対象にオンラインで行われました。回答を並べると、パスタを食べるのが週に1回未満という人はごく少数です。

週3.7回という平均は、1日2食のうち1食をパスタにする日が週の半分ある、という生活に近い数字です。昼に食べる人もいれば夜に食べる人もいて、家庭や地域で差はありますが、主食に近い位置にあることは確かです。

量で見ても同じ傾向が出ます。国際パスタ機構(IPO)によると、イタリアの1人あたりの年間消費量は23kgを超えていて、世界で最も多い国です。乾麺1食分を80gとすると、年間で280食を超える量になります。

パスタは「主食」ではなく「最初の皿」

日本の感覚でいう主食とは、少し位置づけが違います。イタリアの伝統的な食事の流れでは、前菜(アンティパスト)、第一の皿(プリモ・ピアット)、第二の皿(セコンド・ピアット)、付け合わせ、デザートと続き、パスタはプリモ・ピアットに入ります。

プリモ・ピアットはパスタのほか、リゾットやスープも担当する皿です。そのあとに肉や魚のセコンドが来るため、1皿あたりのパスタの量は日本のパスタ専門店より少なめです。

もっとも、平日の家庭で毎回コースを組むわけではありません。パスタ1皿とサラダで終わる昼食もあれば、セコンドを省く夕食もあります。コースの形は、レストランや週末の食卓で残っているものと考えたほうが実態に近いでしょう。

イタリアのパスタ
トローフィエ

1食の量は80g前後

イタリアの国立研究機関CREAが示す食生活ガイドラインでは、パスタ1人前の目安は乾麺で80gです。日本のパスタ専門店では100〜120gが一般的なので、それより少なめです。

量を抑えるぶん、茹で方には強いこだわりがあります。芯がわずかに残る「アルデンテ」で茹で上げ、ソースと絡めて仕上げる。茹で汁を少し加えてソースを乳化させるのも、家庭でよく見る手順です。

パスタの袋に書かれた茹で時間を、1分ほど短くして引き上げる人も多い。フライパンでソースと合わせる間にも火が入るためです。

地域によって食べるパスタが違う

イタリアのパスタ
タリアテッレ

イタリアのパスタは、地域ごとに主役が違います。大きく分けると、北は卵を練り込んだ生パスタ、南は小麦粉と水だけで作る乾燥パスタの文化です。

地域よく食べられるパスタ代表的な料理
エミリア=ロマーニャ州タリアテッレ、トルテッリーニ(卵入りの生パスタ)タリアテッレ・アル・ラグー
リグーリア州トロフィエ、トレネッテジェノベーゼ(バジルのペースト)
ラツィオ州(ローマ)スパゲッティ、リガトーニカルボナーラ、カチョ・エ・ペペ
カンパーニア州(ナポリ)乾燥パスタ全般トマトソースのスパゲッティ
プーリア州オレキエッテ菜の花のオレキエッテ

日本でボロネーゼと呼ばれる料理は、本場のボローニャではスパゲッティではなく、平たいタリアテッレで食べるのが一般的です。ソースが絡みやすい麺を選ぶという考え方で、形とソースの組み合わせには地域ごとの決まりがあります。

好きな形はスパゲッティとペンネ

YouGovの調査で好きなパスタの形を尋ねると、1位はスパゲッティで23%、2位はペンネで12%でした。残りの65%はそれ以外の形に分かれていて、好みの幅が広いことが分かります。

イタリアには数百種類の形があるといわれます。スーパーのパスタ売り場には、日本では見かけない形が棚一面に並びます。旅行の土産に数種類買って帰ると、形ごとの食感の違いが分かります。

毎日食べても太らないのか

パスタをこれだけ食べていても、イタリアの肥満率は欧州連合(EU)の中で低い部類に入ります。理由として挙げられるのが、先に書いた1食の量の少なさと、食事全体の組み立てです。

パスタのあとに野菜や豆、魚を食べ、オリーブオイルを使う。いわゆる地中海式の食事は、2010年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。パスタだけを切り出すのではなく、食事全体のなかで見る必要があります。

アルデンテに茹でたパスタは、柔らかく茹でたものより血糖値が上がりにくいとされています。デュラム小麦のセモリナで作る乾燥パスタの特性で、茹で過ぎないことにはおいしさ以外の理由もあります。

イタリアの食卓で覚えておきたいマナー

現地のレストランで気をつけたいこと

  • スパゲッティはフォークだけで巻いて食べる。スプーンは添えないのが一般的
  • パスタをナイフで切らない
  • 魚介のパスタには粉チーズをかけないことが多い
  • パスタは音を立ててすすらない

スプーンを添えて巻く食べ方は、イタリアの大人の間では一般的ではありません。レストランで頼めば出してもらえますが、フォーク1本で巻くのが基本と覚えておくと戸惑いません。

魚介のパスタに粉チーズをかけないのは、チーズの香りが魚介の風味を消してしまうという考え方からです。ただし、地域や料理によっては例外もあります。

1日の食事のなかでのパスタ

イタリアの朝食(コラツィオーネ)は軽く、エスプレッソやカプチーノに甘いパンやビスケットで済ませる人が多い。そのぶん昼食(プランツォ)と夕食(チェーナ)に重心があり、パスタはこのどちらかに入ります。

夕食の時間は日本より遅く、夜8時から9時ごろに始まるのが普通です。南部ほど遅くなる傾向があり、夏は夜10時近くに食卓を囲む家庭もあります。レストランも、夜7時前には開いていない店が少なくありません。

かつては昼にしっかり食べ、夕食を軽くする家庭が多かったものの、都市部では働き方の変化で昼を簡単に済ませる人が増えています。昼はパスタ1皿、夜は家族でコース風に。そんな組み立ても珍しくなくなりました。

乾燥パスタは法律で原料が決まっている

イタリアで製造する乾燥パスタは、原料をデュラム小麦のセモリナにすることが1967年の法律で定められています。パンやケーキに使う柔らかい普通小麦は、乾燥パスタの原料としては認められていません。

デュラム小麦はたんぱく質が多く、茹でてもコシが残りやすい。アルデンテという茹で加減が成り立つのは、この原料があってこそです。イタリア産のパスタの袋を見ると、原材料欄には「デュラム小麦のセモリナ」とだけ書かれているはずです。

パスタが国民食になるまで

乾燥パスタの記録として古いものに、12世紀のアラブの地理学者イドリースィーの記述があります。シチリア島のパレルモ近郊で、乾燥させた麺状の食べ物が作られ、各地へ運ばれていたと書き残しています。

マルコ・ポーロが中国からパスタを持ち帰ったという話は広く知られていますが、これは後世に広まった俗説です。彼がアジアから戻るより前から、イタリアにはパスタがありました。

ナポリで乾燥パスタが庶民の食べ物として広まったのは17世紀ごろ。街角でパスタを手づかみで食べるナポリの人々は、「マカロニ食い」と呼ばれました。トマトソースと組み合わさるのは、さらに後の19世紀に入ってからです。

家で本場の味に近づける茹で方

茹で方の目安

  • パスタ100gに対して、湯は1リットル、塩は10g前後
  • 塩は湯が沸いてから入れる
  • 表示の茹で時間より1分ほど早く引き上げる
  • 茹で汁をおたま1杯取っておき、ソースと合わせるときに加える

塩の量は日本の家庭の感覚より多めです。イタリアではパスタそのものに塩味をつけておくのが基本で、ソースの塩は控えめにします。茹で汁を加えるのは、汁に溶け出たでんぷんがソースと油をつなぎ、麺に絡みやすくするためです。

表面がざらついた「ブロンズダイス」製法のパスタは、ソースが絡みやすいとされています。袋に「trafilata al bronzo」と書かれているものがそれで、少し値段は上がりますが、味の違いは分かりやすい。

10月25日は「世界パスタデー」です。1998年にローマで開かれた世界パスタ会議をきっかけに始まった記念日で、イタリアではこの前後にパスタに関する調査や催しが増えます。先に紹介したYouGovの調査も、この日に合わせて発表されたものです。

日曜日の昼食は、今もイタリアの家庭で特別な時間です。祖父母の家に家族が集まり、手打ちのパスタやラザニアを囲んで、昼から夕方近くまで食卓が続くこともあります。平日の手早い1皿と、週末のゆっくりした食卓。同じパスタでも、曜日によって役割が変わります。

週3.7回食べても飽きないのは、形とソースの組み合わせが無数にあるから

イタリア人がパスタを食べる頻度は、平均で週3.7回。量は1回80g前後と控えめで、コースの最初の皿として、あるいは平日の昼の1皿として食卓に上ります。

同じパスタでも、地域、形、ソースで別の料理になる。毎日のように食べても飽きない理由は、そこにあります。ヨーロッパの食文化についてはNutri-Scoreとは?でも扱っています。

出典:YouGov Italia「Pasta Day 2023: usanze e preferenze degli italiani」(2023年9月、18歳以上1,057人)、International Pasta Organisation、CREA「Linee guida per una sana alimentazione」、UNESCO無形文化遺産(地中海料理)

Filed in

Which way?

留学とワーホリ、自分に合うのはどちらか。

診断してみる →