留学先を英語圏にするか非英語圏にするか。この選択は、語学の好みではなく、何を持ち帰りたいかで決まります。
英語圏なら、すでに学んできた言語を伸ばすことに集中できます。非英語圏なら、ゼロから始める代わりに希少性が得られる。
先に結論
- 英語圏:準備期間が短い。情報も教材も豊富
- 非英語圏:ゼロから始まるが、話者が少なく希少性が高い
- 費用は非英語圏(中欧・南欧・アジア)のほうが抑えられる
- 帰国後の説明しやすさは英語圏が有利
- 非英語圏でも英語は使う場面が多い

1.
準備期間の差
最も大きな違いです。
英語圏に行く場合、日本の学校教育で数年間学んできた蓄積がそのまま使えます。渡航時点でA2からB1程度の基礎があることが多く、到着後すぐに伸ばす段階に入れる。
非英語圏では、多くの場合ゼロから始まります。渡航前に準備しなければ、現地で挨拶から覚えることになる。
短期留学ではこの差が決定的です。3か月の滞在で、ゼロから実用水準に届くことはありません。英語圏なら、既存の基礎を実用に変える時間として使えます。
逆に1年以上の長期なら、非英語圏でも実用水準に届く可能性があります。
2.
学習環境の差
英語圏には、留学生向けの語学学校が産業として成立しています。コースの選択肢、価格帯、入学時期。いずれも幅がある。
非英語圏では学校数が限られ、大学付属の語学コースが中心という国もあります。入学時期が年に数回しかない場合もあり、渡航時期を学期に合わせる必要が出てきます。
日本語の情報量も違います。英語圏の留学は体験談も手続きの情報も豊富にある一方、中欧や東欧の情報は日本語ではほとんど見つかりません。

3.
費用の差
ここは非英語圏が有利になることが多い。
英語圏の主要都市、特にロンドン、ニューヨーク、シドニーは生活費が高い水準にあります。
一方、中欧、東欧、南欧の一部、東南アジアでは、生活費が日本と同程度かそれ以下に収まることがあります。学費も西欧の主要国より抑えられる国がある。
同じ予算なら、非英語圏のほうが長く滞在できる。滞在期間の長さは語学の伸びに直結するため、この差は無視できません。
4.
帰国後の
使いどころ
英語圏の利点は、成果を説明しやすいことです。
TOEICやIELTSといった共通の物差しがあり、採用側も水準を判断できます。求人の要件としても英語が最も多い。
非英語圏の言語は、採用側が水準を判断できないことがあります。ドイツ語がB2だと言われても、それがどの程度なのか分からない。
対策は資格です。ドイツ語ならGoethe-Zertifikat、フランス語ならDELF、スペイン語ならDELE。CEFRに対応しているため、共通の物差しで説明できます。
一方、希少性では非英語圏が勝ります。英語ができる日本人は多数いますが、ドイツ語やフランス語をB2まで持っている日本人は格段に少ない。

5.
非英語圏でも
英語は使う
気づかれにくい点です。
非英語圏の大学に留学しても、英語で行われる授業は少なくありません。国際的な学位プログラムの多くが英語で提供されています。
留学生同士の共通語も英語になることがほとんどです。クラスメイトが多国籍なら、教室の外でも英語を使うことになります。
つまり非英語圏を選んでも、英語を使わずに済むわけではない。現地語と英語の両方を伸ばす環境になることが多い。
この点は利点として数えられます。二言語を同時に扱う経験は、英語圏では得られません。
どちらを
選ぶか
条件別の判断
- 滞在が3か月以内 → 英語圏
- ゼロから言語を学びたい → 非英語圏(1年以上)
- 費用を抑えて長く滞在したい → 非英語圏
- 帰国後すぐ就職に使いたい → 英語圏
- 希少性で差別化したい → 非英語圏
最も重要な分岐は滞在期間です。短期なら英語圏、長期なら非英語圏にも十分な合理性があります。
そして、非英語圏を選ぶなら渡航前の準備が前提になります。現地語をA2まで進めてから行けるかどうかで、滞在の質が大きく変わります。
6.
併用という
選択肢
二者択一ではありません。組み合わせる方法があります。
英語圏で基礎を固めてから、非英語圏へ移る。英語がB2程度に達していれば、非英語圏での生活と学習が大幅に楽になります。
逆の順序もあります。非英語圏で現地語を身につけ、その後に英語圏で英語を仕上げる。時間はかかりますが、二言語を持てる。
短期を組み合わせる形もあります。夏休みに英語圏、翌年の春休みに非英語圏。それぞれ数週間でも、判断材料としては十分です。
最初の留学で決める必要はない、ということです。一度行けば次の判断が容易になります。
7.
費用の
目安を比べる
具体的な数字で考えると判断しやすくなります。
英語圏の主要都市で1年間滞在する場合、学費と生活費を合わせて300万円から400万円台という水準になることが多い。都市とプログラムによって幅があります。
中欧や南欧、アジアの一部なら、同じ1年で150万円から250万円程度に収まる国があります。
この差は、滞在期間に転換できます。同じ予算で、英語圏なら1年、非英語圏なら2年。語学の到達点を考えると、期間の差は小さくありません。
先に決めるのは行ける期間
英語圏は準備期間が短く、成果を説明しやすい。非英語圏は費用が抑えられ、希少性で勝てる。どちらが優れているかではなく、滞在期間と目的で決まります。
迷っているなら、まず滞在できる期間を確定させてください。3か月以内なら英語圏、1年以上取れるなら非英語圏も選択肢に入ります。







