日本がワーキングホリデー協定を結ぶ32か国・地域のうち、英語が主要言語なのはオーストラリア、ニュージーランド、カナダ、英国、アイルランドの5つだけです。残りの27はそれ以外の言語圏になります。
選択肢としては非英語圏のほうが圧倒的に多い。それでも渡航先が英語圏に偏るのには理由があります。
難しいとされる5つの理由
- 求人の多くが現地語を前提にしている
- 役所・銀行・住居の手続きが現地語で進む
- 日本語のワーホリ情報が英語圏に偏っている
- 語学学校の選択肢と通学費用の条件が違う
- 帰国後、語学力を説明しにくい

1.
仕事が
英語だけでは決まらない
最大の壁はここです。観光地のホテルや土産物店なら英語で通ることもありますが、飲食店の接客、小売、事務のような一般的な求人は現地語が前提になります。
日本食レストランは例外的な受け皿として機能します。ただし競争率が高く、賃金水準も現地の一般職より低い場合がある。日本食レストラン以外の選択肢を持てるかどうかが、滞在の質を左右します。
目安として、現地語でCEFRのB1相当(日常的なやり取りが自力でできる水準)があると、選べる求人の幅が変わります。渡航前にA2まで持っていき、現地でB1に届かせる計画が現実的です。
2.
生活の手続きが
現地語で進む
住民登録、銀行口座の開設、住居の契約、携帯電話の契約。到着後1か月に集中するこれらの手続きは、英語対応が保証されていません。
ドイツの住民登録(Anmeldung)のように、書類の様式が現地語のみという場面は珍しくない。窓口担当者が英語を話すかどうかも運次第です。
打てる手としては、到着前に日本人コミュニティか現地のサポート窓口を確保しておくこと。最初の1か月だけ有料の生活サポートを使い、以降は自力に切り替える人が多い。

3.
日本語の情報が
圧倒的に少ない
オーストラリアやカナダのワーホリなら、体験談も求人情報も日本語で大量に見つかります。ハンガリーやリトアニア、エストニアではそうはいきません。
情報がないこと自体は、実は競合が少ないことの裏返しでもあります。ただし準備段階の負荷は確実に上がる。現地語または英語で一次情報を読む作業が、渡航前から必要になります。
大使館のビザ案内、現地の移民局、市の公式サイト。この3つを直接読む前提で準備を組んでください。
4.
語学学校の
条件が違う
英語圏には留学生向けの語学学校が産業として成立していて、コースの選択肢も価格帯も幅があります。非英語圏では学校数が限られ、大学付属の語学コースが中心という国もある。
入学時期が年に数回しかない、初級コースが埋まりやすい、といった制約も出ます。渡航時期を学校の学期に合わせる必要が生じる場合があるため、ビザの申請前に確認しておくほうが安全です。

5.
帰国後に
説明しにくい
日本の採用の場では、英語力はTOEICやIELTSのスコアで示せます。ドイツ語やスペイン語では、そもそも採用側が水準を判断できないことがある。
対策は資格を取っておくことです。ドイツ語ならGoethe-ZertifikatやtestDaF、フランス語ならDELF、スペイン語ならDELE。CEFRに対応しているため、B1やB2という共通の物差しで説明できます。
滞在中に受験まで済ませておくと、帰国後の説明が一段楽になります。
それでも
非英語圏を選ぶ理由
難しさの裏返しとして、得られるものがあります。
非英語圏の利点
- 英語以外の言語を話す日本人は、単純に数が少ない
- 日本人が少ない環境では、現地語の上達が速い
- 生活費が英語圏より低い国が多い(中欧・東欧・南欧)
- その言語圏の企業との接点が、帰国後のキャリアに直結しやすい
英語ができる日本人は多数います。ドイツ語とフランス語のどちらかがB2水準にある日本人は、それより格段に少ない。希少性で勝負するなら非英語圏です。
壁はひとつ。言語だけ
非英語圏が難しいのは事実ですが、難しさの中身は「言語」に集約されます。裏を返せば、言語の準備さえ前倒しできれば残りの障害は小さい。
検討しているなら、渡航の1年前から現地語をA2水準まで進めてください。その一点で、現地での選択肢が大きく変わります。
出典:外務省「ワーキング・ホリデー制度」(2026年4月1日更新、協定32か国・地域)







