語学の単語や表現を書き留めるなら、手のひらに収まるサイズのノートが向いています。A6(105×148mm)やB7(91×128mm)なら、上着のポケットにも入る。いつも手元にあることが、そのまま復習の回数につながります。
大きいノートにきれいにまとめても、机の上でしか開かなければ見返す機会は限られます。この記事では、小さいノートで語学を勉強する5つのメリットと、サイズの選び方、続けやすい書き方をまとめます。
小さいノートで語学を勉強する5つのメリット
- いつも持ち歩けるので、隙間時間に見返せる
- 1ページに書ける量が少なく、要点だけが残る
- 書く量が少ないので続く
- 見返しやすく、復習の間隔を空けて覚えられる
- 1冊を使い切りやすく、進んだ量が目に見える
1.いつも持ち歩ける
語学の勉強は、机に向かう時間だけでは足りません。電車を待つ3分、昼休みの5分。こうした時間を集めると、1日に30分を超える人も多いはずです。
小さいノートなら、その隙間に取り出せます。スマートフォンのアプリでも同じことはできますが、通知やほかのアプリに気を取られない分、ノートのほうが集中が途切れにくい。紙を開くだけで勉強に切り替えられるのは、小さいノートの大きな利点です。
2.要点だけが残る
1ページに書けるのは、数行から十数行。書ける量が限られていると、何を書くかを選ぶことになります。
大きいノートでは、教科書の説明をそのまま写してしまいがちです。小さいノートでは、覚えたい表現と例文を1つ、といった書き方に自然に絞られます。この「選ぶ」作業そのものが、内容を理解する助けになります。
3.書く量が少ないので続く
ノートを使った勉強が続かない理由のひとつは、1回に書く量が多すぎることです。見開き2ページを埋めるのに30分かかるなら、忙しい日は開かなくなります。
小さいノートの1ページは、5分あれば埋まります。今日は1ページだけ、と決めても達成できる量です。語学は毎日少しずつ触れるほうが身につくので、1回の量が少ないことは弱点になりません。
4.間隔を空けて見返しやすい
記憶の研究では、同じ時間を使うなら一度にまとめて覚えるより、間隔を空けて何度か見返すほうが長く覚えていられることが繰り返し確かめられています。「分散学習」と呼ばれる方法です。
持ち歩けるノートは、この分散学習に向いています。書いた翌日、3日後、1週間後。電車の中で前のページをめくるだけで、自然に間隔を空けた復習になります。
5.使い切ると進んだ量が見える
小さいノートは、1冊をひと月ほどで使い切れることも珍しくありません。使い終わったノートが2冊、3冊と積み重なると、自分がどれだけ勉強してきたかが目に見えます。
語学は伸びを実感しにくい勉強です。使い切ったノートの冊数は、その実感を補ってくれます。
サイズの選び方
| サイズ | 寸法 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| A7 | 74×105mm | 単語だけを書く。胸ポケットに入る |
| B7 | 91×128mm | 単語と短い例文。持ち歩きと書きやすさのバランスがよい |
| A6(文庫本サイズ) | 105×148mm | 例文や短い会話文まで書く。鞄に入れて持ち歩く |
迷ったら、B7かA6から始めるのが無難です。A7は持ち歩きには最も楽ですが、例文を書くには狭く、字が小さくなりがちです。
罫線は、単語を並べるなら横罫、アルファベットの大きさをそろえたいなら方眼やドット方眼が使いやすい。リング綴じは片手で開きやすく、糸綴じは丈夫で長く持ち歩いても崩れにくいという違いがあります。
表紙の硬さも見ておきたい点です。硬い表紙のノートは、机がない場所でも手のひらの上で書けます。立ったまま電車で書くことが多いなら、表紙がしっかりしたものを選ぶと字が乱れにくくなります。柔らかい表紙は軽くて薄いぶん、ポケットに入れて持ち歩くのに向いています。
続けやすい書き方
書き方の決まりごと
- 1ページに1つの表現と、その例文を書く
- 左に外国語、右に日本語など、書く位置を決めておく
- ページの隅に書いた日付を入れる
- 見返したら小さく印をつける
書く位置を決めておくと、見返すときに日本語側を手で隠して、外国語を思い出す練習ができます。単語カードと同じ使い方を、ノートのままでできるわけです。
日付を入れておけば、何日前に書いたページかがすぐに分かります。見返した日に印をつけると、印の少ないページが、まだ覚えていないページだと一目で分かります。
1ページの書き方の例
たとえば英語なら、ページの上に覚えたい表現を1つ大きく書きます。「look forward to 〜ing」。その下に例文を1つ、「I’m looking forward to seeing you.」。さらにその下に、日本語訳と、自分なりの注意点を短く添えます。「toのあとは動詞のing形」。
ページの右下には書いた日付を入れ、見返したら正の字のように線を1本ずつ足していく。これだけで、1ページが単語帳と復習記録を兼ねることになります。
いつ見返すか
見返すタイミングは、細かく決めなくてもかまいません。目安として、書いた翌日、3日後、1週間後、1か月後の4回を意識すると、分散学習の効果を得やすくなります。
実際には、朝の通勤電車で前日のページを、週末に1週間分をまとめて見返す、といった生活に合わせた決まりのほうが続きます。大事なのは、見返す時間をあらかじめ生活のどこかに組み込んでおくことです。
単語カードやアプリとの使い分け
| 道具 | 得意なこと | 苦手なこと |
|---|---|---|
| 小さいノート | 表現と例文をまとめて残せる。前後のページも見返せる | 順番を入れ替えられない |
| 単語カード | 覚えたカードを抜いて、苦手なものだけを繰り返せる | 例文や説明を書くには狭い |
| 語学アプリ | 出題の間隔を自動で調整してくれる | 自分で選んだ表現を書き込む手間がかかる |
どれか一つに絞る必要はありません。授業や本で出会った表現をノートに書き、何度見ても覚えられないものだけを単語カードに移す。基本の単語はアプリで回す。道具ごとに役割を分けると、それぞれの弱点を補えます。
言語ごとに変えたい工夫
中国語は、漢字だけを書いても発音が分かりません。ピンインと声調を必ず添えましょう。声調を色で分けて書く人もいます。
フランス語・ドイツ語・スペイン語のように名詞に性がある言語では、名詞を冠詞と一緒に書くのが基本です。男性名詞と女性名詞でペンの色を変えると、見返すたびに性の区別が目に入ります。
韓国語は、ハングルの綴りと実際の発音がずれる語が多いので、発音が変わる箇所に印をつけておくと、読むときに迷いません。
ペンの選び方
小さいノートには、細めのペンが合います。0.3〜0.5mmのゲルインクやボールペンなら、狭い行にも読みやすい字が書けます。太いペンは字がつぶれやすく、1ページに書ける量も減ります。
持ち歩くなら、ノートと一緒にしまえる短めのペンか、ノートの綴じ部分に差せるペンホルダーがあると、書きたいときにペンを探さずに済みます。消せるボールペンは便利ですが、高温の場所に置くとインクが消えることがあるので、夏の車内などには注意が必要です。
よくある失敗
続かない書き方
- きれいに書くことに時間をかけすぎる
- 書いた時点で満足して、見返さない
- ペンの色を増やしすぎて、何が大事か分からなくなる
- 1ページに詰め込みすぎて、小さいノートの利点が消える
一番多いのは、書いて満足してしまうことです。ノートは書くためではなく、見返すためにあります。書いた量より、見返した回数を気にしたほうが結果につながります。
色は2色か3色で十分です。黒で本文、赤で注意点、青で例文。決まりを最初に作っておけば、迷わずに書き進められます。
使い切ったノートの扱い
使い終わったノートは捨てずに、表紙に使った期間を書いて取っておきましょう。数か月後に最初の1冊を開くと、当時は覚えられなかった表現が、今は当たり前に読めることに気づきます。
ただ、古いノートを全部見返す必要はありません。新しいノートの最初のページに、前の1冊でどうしても覚えられなかった表現だけを書き写す。覚えにくいものだけが次の1冊に引き継がれ、自然に苦手な表現を集めた一覧ができあがります。
手書きはタイピングより覚えやすいのか
手書きのほうが覚えやすい、という話はよく聞きます。根拠としてよく挙げられるのが、2014年に発表されたミューラーとオッペンハイマーの研究で、手書きでノートを取った学生のほうが、講義内容の理解を問う問題の成績がよかったというものです。
ただし、2019年に同じ条件で行われた追試では、この差ははっきりとは再現されませんでした。2日後のテストでは、手書きかパソコンかによる差は見られなかったと報告されています。追試の研究者たちが重視したのは、書く道具より、ノートに何を書いたかでした。
手書きかどうかより、何を選んで書き、何度見返すか。小さいノートの利点は、手書きであることより、選んで書き、持ち歩いて見返せる点にあると考えたほうが正確です。
ポケットに入るノートが、復習の回数を増やす
小さいノートのメリットは、持ち歩けること、要点だけを書くこと、少ない量で続けられること。そして何より、見返す回数が増えることです。
B7かA6を1冊用意して、1ページに1表現から始めてみてください。語学の勉強で気をつけたい点は留学先での語学勉強で気をつけたい5つのことに、口に出す練習の方法は瞬間英作文のやり方にまとめています。
出典:Mueller, P. A. & Oppenheimer, D. M. (2014) Psychological Science. Morehead, K., Dunlosky, J. & Rawson, K. A. (2019) Educational Psychology Review. Cepeda, N. J. et al. (2006) Psychological Bulletin(分散学習のメタ分析)。紙の寸法はJIS P 0138








