洋書の選び方|YL・Lexileで自分のレベルを知り、最後まで読み切る8つの基準

洋書を買ったまま最後まで読めなかった。原因のほとんどは、選んだ本が難しすぎたことです。

意志や根気の問題ではありません。辞書を引く回数が一定を超えると、物語の流れが切れて読み進められなくなる。これは能力ではなく、難易度の設定の問題です。

自分に合う水準を知るための指標があります。YLとLexileです。

2つのレベル指標

  • YL:日本の多読研究会が定めた読みやすさレベル(0.0〜8.0以上)
  • Lexile:米国で開発された指標(約150L〜1700L)
  • YL 0.0〜0.9は英検5〜3級、1.0〜1.9は準2級が目安
  • 多読の入口は、辞書なしで9割理解できる水準

1.
自分のレベルより
低い本を選ぶ

最も重要な基準です。そして最も守られていない基準でもあります。

多読の考え方では、辞書を引かずに読める水準の本から始めます。知らない語が出てきても、飛ばして文脈から推測する。

この方法が成立するのは、知らない語が全体の数パーセントに収まっている場合です。1ページに10語も知らない語があれば、推測は機能しません。

目安として、YL 0.0〜0.9は英検5級から3級、TOEIC 60点前後から。YL 1.0〜1.9が英検準2級、Lexileで650Lまで。YL 2.0〜2.9が英検2級、850Lまでとされています。

英検2級を持っている人でも、多読の入口としてはYL 0台から始めるのが推奨されます。低すぎると感じるくらいが適切です。

2.
YLとLexileの
使い分け

二つの指標は成り立ちが違います。

YLは日本人学習者向けに設計されていて、語彙や文法の難易度に加えて、文章の長さ、挿絵の有無、文化的な背景知識の必要性まで考慮されています。0.1刻みで細分化されている点も実用的です。

Lexileは語彙の難しさと文の構造の複雑さから算出される数値で、約150Lから1700Lの範囲を取ります。英語圏の学校教育で広く使われており、多くの洋書に表示されています。

日本語のレビューや書評システムを使うならYL、洋書の表示やアメリカのサイトを見るならLexile。両方を参照できると選択の幅が広がります。

3.
楽しめる
内容を選ぶ

レベルが合っていても、内容に関心がなければ読み切れません。

教材として選ばれがちな古典や名作は、必ずしも適していません。文体が古く、現代の語法と違う場合がある。

自分が日本語でも読むジャンルを選んでください。ミステリが好きならミステリ、ノンフィクションが好きならノンフィクション。

すでに日本語で読んだ本の原書という選択肢もあります。筋を知っているため、分からない箇所があっても進めます。

4.
厚さと
読了までの現実味

400ページの本を選ぶと、1日10ページで40日かかります。この期間、関心を維持できるかを考えてください。

最初の数冊は、100ページ以下の薄い本を選ぶことを勧めます。読み終えたという経験が、次の1冊につながる。

多読では「100万語」という目標がよく掲げられますが、これは積み上げた結果であって、最初に掲げる数字ではありません。1冊目は薄い本で構いません。

5.
紙質と
レイアウト

物理的な読みやすさは軽視されがちですが、実際の読書量に影響します。

洋書のペーパーバックは、日本の文庫より文字が小さく、行間が詰まっていることがあります。紙質も粗く、長時間読むと目が疲れる。

購入前に実物を確認できるなら、1ページ開いてみてください。文字の大きさと行間が自分に合うかは、数秒で分かります。

オンラインで買う場合は、プレビュー機能で本文の一部を確認できることが多い。これを使わない手はありません。

6.
挿絵の
有無

挿絵は子ども向けの本の要素と思われがちですが、多読では機能的な意味を持ちます。

文章で分からなかった部分を、絵が補ってくれる。辞書を引かずに進むという原則を成立させる助けになります。

YLの算出にも挿絵の有無が含まれているのは、このためです。

入門段階では、挿絵の多い本を選ぶほうが挫折しにくい。Graded Readersと呼ばれる学習者向けシリーズは、この点が設計されています。

7.
注釈や対訳の
付いた版

日本の出版社が出している注釈付きの洋書があります。ページ下部や巻末に語注が付いた形式です。

辞書を引く手間が省けるため、読む速度が落ちません。

ただし注釈に頼りすぎると、推測する力が育ちません。多読の原則からは外れる面もあるため、最初の数冊だけ使って卒業する、という位置づけが適切です。

対訳本も同様です。左右のページに英語と日本語が並ぶ形式は、内容の理解には有効ですが、日本語を読んでしまう誘惑が強い。

8.
オーディオブックと
電子書籍

形式の選択肢も増えています。

電子書籍の利点は、辞書機能が内蔵されていることです。単語を長押しすれば意味が出る。引く手間が数秒に収まるため、流れが切れにくい。

文字サイズを変えられるのも実用的です。ペーパーバックの小さな文字に苦労する必要がありません。

オーディオブックは、読むことと聞くことを同時に行えます。音声を流しながら文字を追うと、速度が強制的に保たれ、辞書を引く余地がなくなる。多読の原則に合った使い方です。

ただし速度が速すぎると、理解が追いつきません。再生速度を落とせる機能を使って調整してください。

多読の
基本原則

多読の三原則

  • 辞書を引かない
  • 分からないところは飛ばす
  • つまらなければやめて次の本へ

三つめが特に重要です。合わない本を我慢して読み続けると、読書そのものが嫌になります。

途中でやめることは失敗ではありません。次の本を選び直すための判断です。

どこで
買うか

入手経路によって、選べる範囲と確認できる情報が変わります。

大型書店の洋書コーナーは、実物を確認できるのが利点です。文字の大きさ、紙質、挿絵の量。数秒で判断できます。ただし在庫は限られ、学習者向けのシリーズが充実していない店もあります。

オンライン書店は品揃えで勝ります。Lexile指数が表示されていることも多く、プレビュー機能で本文の一部を確認できる。レビューも判断材料になります。

電子書籍なら、サンプルを無料で読めるのが最大の利点です。最初の数ページを読んで、辞書を引かずに進めるかを確かめてから買える。この確認ができるだけで、失敗の確率が大きく下がります。

図書館に洋書コーナーがある場合は、そこで試すのが最も費用対効果が高い。合わなければ返せばいいだけです。

1ページ目の知らない単語を数える

洋書選びで効くのは、YLかLexileで自分の水準を把握し、それより低い本を選ぶことです。辞書なしで読めると感じるくらいが適正です。

最初の1冊は、100ページ以下で、日本語でも読むジャンルの本を選んでください。途中でやめた本は、失敗ではありません。

出典:YL(読みやすさレベル)およびLexile指数の対応に関する資料、多読の三原則(SSS多読研究会)

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