海外ノマドになる前に読む本3選と、いま押さえておくべき制度の話

海外ノマドという働き方が現実的になったのは、通信環境の改善だけが理由ではありません。制度が追いついてきたことが大きい。

日本も2024年に「デジタルノマド」向けの在留資格の運用を始めました。約50か国・地域の国籍を持つ、年収1,000万円以上の人が対象で、滞在期間は6か月以内。在留資格は「特定活動」に分類されます。

つまり日本は受け入れる側になった。同じように、日本人を受け入れるノマド向けビザを持つ国も増えています。本を読む前に、この構図を理解しておくと得るものが変わります。

前提として押さえる制度の話

  • ノマド=遊牧民。場所と時間に縛られない働き方
  • 日本は2024年からデジタルノマド向けの在留資格を運用
  • 対象は約50か国・地域、年収1,000万円以上、滞在6か月以内
  • 在留資格の区分は「特定活動」

そもそも
ノマドワーカーとは

ノマドは遊牧民を意味する言葉です。決まったオフィスを持たず、場所と時間に縛られずに働く人を指します。

特徴を一言でいえば自由ですが、対になるのは自己責任です。勤務時間を誰も管理しないかわりに、成果が出なければ収入も出ない。福利厚生も、健康保険の手続きも、税務申告も自分で処理することになります。

海外ノマドとなると、ここに在留資格、租税条約、社会保険の扱い、送金と為替が加わります。「ノートパソコン一台で世界中どこでも」という表現は、実務の半分を省略しています。

だからこそ、先に経験した人の記録を読む価値があります。

1.
『海外ノマド入門』

著者のルイス前田氏は世界一周を経験し、81か国を訪れたノマドワーカーです。

この本の価値は、著者自身の経験談だけで終わっていない点にあります。56人の海外ノマドワーカーへの取材が収録されていて、職種も収入の作り方もばらばらの事例が並びます。

扱われるのは、海外で収入源を確保する方法、滞在先の選び方、海外保険の考え方といった実務です。理念や働き方論ではなく、手続きと判断の話が中心になっている。

これから始める人が最初に読むなら、この一冊が適しています。自分がどの型のノマドを目指すのかを決める材料になります。

2.
『移住者たちのリアルな声でつくった
海外暮らし最強ナビ』

ヨーロッパ編とアジア編に分かれています。ノマドに特化した本ではなく、海外での生活そのものに焦点を当てた一冊です。

扱われるのは、国ごとの治安、生活の勝手、移住の手続き、費用感。実際に暮らしている人の声を集めた構成になっています。

ノマドの本を読むと、働き方の話に寄りがちです。しかし滞在の成否を決めるのは、たいてい生活の側です。住居が見つからない、治安が想像と違う、病院のかかり方が分からない。そこで折れる人が多い。

滞在先の候補が複数あるなら、この本で生活面を比較してから絞るという使い方ができます。

3.
『常識からはみ出す生き方』

ノマドワーカーが仕事と人生のルールを語る一冊です。

前の二冊が実務と生活の本であるのに対し、こちらは考え方の本です。会社に属さない働き方を選ぶとき、何を手放し何を得るのか。その判断の軸を扱っています。

実務書だけを読んでいると、手続きは分かっても続ける動機が続きません。逆に理念の本だけでは現実に着地しない。三冊を読む順番としては、この本を最後に置くのが良い組み合わせです。

本では
埋まらない部分

書籍には弱点があります。制度の情報が古くなることです。

ノマド向けの在留資格は、ここ数年で急速に整備されてきました。ポルトガル、スペイン、エストニア、クロアチア、タイ、韓国。いずれも近年になって制度を新設または改定しています。数年前の本に載っている条件は、そのまま使えません。

したがって、本で全体像と判断軸を掴み、制度の詳細は各国の公式情報で確認するという二段構えが必要です。ビザの要件、必要な年収水準、滞在可能期間、課税の扱い。この4点は必ず一次情報にあたってください。

本ではなく公式情報で確認すべき4点

  • 在留資格の種類と、リモートワークが認められるか
  • 最低年収要件と、その証明方法
  • 滞在可能期間と延長の可否
  • 183日ルールなど、税務上の居住者判定

最後の税務は、後回しにされがちです。多くの国で、年間183日以上の滞在が課税上の居住者判定の目安になります。日本の非居住者になるか、滞在国で納税義務が生じるか。滞在計画を立てる段階で確認しておかないと、後から遡って問題になります。

ノマドビザがある
主な国

日本人が利用できる可能性のある制度を持つ国は増えています。代表的なものを挙げます。

ヨーロッパでは、ポルトガル、スペイン、エストニア、クロアチア、ギリシャ、ハンガリー、チェコなどが制度を設けています。滞在可能期間は1年前後で、更新が認められる国もある。求められる月収や年収の水準は国ごとに異なり、日本の平均年収より高い基準を設定している国も珍しくありません。

アジアではタイ、インドネシア、マレーシア、韓国が制度を整備しています。ヨーロッパより収入要件が緩やかな場合があり、物価水準も低いため、初めての長期滞在先として選ばれやすい。

いずれの制度も、収入の源泉が滞在国の外にあることが条件になります。現地の企業に雇用されて働くことは認められていません。リモートワークか、海外の顧客を相手にした自営であることが前提です。

条件は頻繁に改定されます。ここに挙げた国名はあくまで手がかりで、実際の要件は必ず各国の公式サイトで確認してください。

読む順番

三冊を買うなら、順番は次のとおりです。

まず『海外ノマド入門』で、ノマドという働き方の輪郭と収入の作り方を掴む。次に『海外暮らし最強ナビ』で、候補地の生活面を比較する。最後に『常識からはみ出す生き方』で、自分がなぜそれを選ぶのかを整理する。

実務、生活、思想。この順で読むと、途中で現実感を失わずに済みます。

本で輪郭、制度は公式サイトで

海外ノマドを始める前に読むなら、実務の本、生活の本、考え方の本を一冊ずつ。そのうえで、制度の詳細は必ず各国の公式情報で確認する。

日本自体が2024年から年収1,000万円以上のノマドを受け入れる側になっています。制度は動いている最中なので、本を読み終えたら渡航候補国のビザ情報を調べる。そこまでやって、ようやく計画が形になります。

出典:出入国在留管理庁「在留資格『特定活動』(デジタルノマド)」/日本のデジタルノマドビザに関する2024年の制度開始報道

Which way?

留学とワーホリ、自分に合うのはどちらか。

診断してみる →