ロンドンの大英博物館もナショナル・ギャラリーも、常設展は入場無料です。世界有数のコレクションに、授業のあとふらっと立ち寄れる。これがロンドンで暮らす留学生の日常です。
その一方で、家賃と生活費は世界でも高い部類に入ります。この記事では、ロンドン留学の特徴を8つに分けて書き、期間によって変わるビザの選び方と、費用で気をつけたい点までまとめます。
ロンドン留学が向いている人
- 美術・演劇・音楽など、文化に触れる時間を留学の中心にしたい
- 多国籍のクラスで英語を学びたい
- ヨーロッパの他の国も旅行したい
- 将来、金融やクリエイティブ業界で働くことを考えている
期間で変わるビザの選び方
- 6か月以内の語学留学:電子渡航認証(ETA)で渡航できる
- 6か月を超え11か月以内の語学留学:短期留学ビザ
- 大学・大学院への進学:学生ビザ
- いずれの場合も、語学学校に通う間は原則として働けない
1.イギリス英語に囲まれて暮らせる

ロンドンで耳にする英語は、ひとつではありません。ニュースで聞くような標準的な発音もあれば、昔ながらの下町のコックニー、移民の多い地区の若者言葉まで、地区と世代で話し方が変わります。
語学学校で教わるのは標準的なイギリス英語ですが、授業の外では多様な英語を聞き取る力が鍛えられます。「イギリス英語は聞き取りやすい」と言われることがありますが、それは教材の英語の話。街で実際に聞く英語は、最初は速く感じるはずです。
アメリカ英語との違いは、単語と綴りに多く表れます。エレベーターはlift、地下鉄はtube、アパートはflat。colourのようにuが入る綴りもイギリス式です。
2.世界中から学生が集まる

ロンドンには大学が40校ほどあり、語学学校も数多くあります。教室にはヨーロッパ、中東、南米、アジアの学生が並び、日本人が少数派になるクラスも珍しくありません。
同じ母語の学生が少ないほど、休み時間も英語で話すことになります。国籍の比率は学校と時期で変わるので、申し込む前に学校へ問い合わせておくと確実です。
3.交通網が密で、ヨーロッパへも出やすい

地下鉄(チューブ)、バス、オーバーグラウンド、エリザベス線。ロンドンの公共交通は、ICカードのオイスターか、タッチ決済のクレジットカードで乗れます。1日の運賃には上限があり、何回乗っても上限を超えて引き落とされることはありません。バスは現金で乗れないので、カードの準備は到着初日から必要です。
18歳以上のフルタイムの学生は、学生用のオイスターカードを作ると定期券にあたるトラベルカードが30%引きになります。通学で毎日使うなら、到着後すぐに申し込む価値があります。

ロンドンは、ヨーロッパの他の国へ出る拠点としても便利です。セント・パンクラス駅からユーロスターでパリまで約2時間20分。LCCを使えば、週末だけの小旅行も組めます。
4.美術館・博物館の多くが無料

大英博物館、ナショナル・ギャラリー、テート・モダン、ヴィクトリア&アルバート博物館、自然史博物館。国立の美術館・博物館の多くは、常設展が無料です。特別展は有料ですが、学生割引を用意しているところが多くあります。
劇場の街でもあります。ウエストエンドのミュージカルは当日券や学生向けの割引券を使えば、日本で観るより安く観られることもあります。授業で習った英語を、舞台の台詞で聞き直す。ロンドンならではの勉強法です。
5.歴史のある街並みと、公園の多さ

ウェストミンスター寺院、ロンドン塔、セント・ポール大聖堂。数百年前の建物が、ガラス張りの高層ビルと並んで立っているのがロンドンの風景です。
公園が多いのも特徴で、ハイド・パークやリージェンツ・パークなど王立公園だけで8つあります。天気のいい日に芝生で昼食をとる人の多さは、東京ではあまり見ない光景です。

6.買い物と市場の街

オックスフォード・ストリートやリージェント・ストリートの大型店、ハロッズのような老舗百貨店。そして、ロンドンらしさがよく出るのが市場です。
食べ物の屋台が並ぶバラ・マーケット、古着や雑貨のカムデン、骨董のポートベロー・ロード。週末の市場を回るだけで、街の地区ごとの性格の違いが見えてきます。
7.アフタヌーンティーの文化

アフタヌーンティーの習慣は、19世紀半ばに貴族の間で始まったとされています。夕食が遅かった時代に、午後の空腹を満たすために紅茶と軽食をとったのが始まりという説が知られています。
ホテルのアフタヌーンティーは高価ですが、カフェや百貨店には手頃な価格のものもあります。日常では、紅茶にミルクを入れて飲むのが一般的です。
8.キャリアにつなげやすい

ロンドンは金融、法律、広告、クリエイティブ産業の拠点です。シティとカナリー・ウォーフには世界の金融機関が集まり、日系企業の欧州拠点も多く置かれています。
イングランドの大学は学部が3年、修士が1年という課程が一般的で、日本やアメリカより短い期間で学位を取れます。卒業後は、卒業生ビザ(Graduate visa)で働きながら滞在を続けられます。期間は現在2年ですが、2027年1月以降の申請からは18か月に短縮されることが決まっています。語学留学だけでは就労につながらないため、キャリアを目的にするなら進学まで視野に入れた計画が必要です。
天気と日の長さ
ロンドンは雨の街という印象を持たれがちですが、年間の降水量は約600mmで、東京の半分以下です。実際に多いのは雨より曇りの日で、小雨が降ったりやんだりする天気が続きます。傘を差さずにフードで済ませる人が多いのはこのためです。
暮らしに影響するのは日の長さです。12月は午後4時前に暗くなり、6月は夜9時を過ぎても明るい。冬に留学するなら、日照の少なさで気分が沈みやすいことは知っておいたほうがいい。晴れた日に外へ出る習慣や、ビタミンDを意識した食事で対策する人もいます。
語学学校の選び方
ロンドンには語学学校が多く、選ぶ基準を持たないと決めきれません。最初に確かめたいのは、ブリティッシュ・カウンシルの認定制度「Accreditation UK」の認定校かどうかです。授業の質、教師の資格、学生への対応が審査されています。
次に、学校の場所です。中心部の学校は通学と観光に便利な一方、周辺の家賃が高くなります。ゾーン2〜3の学校なら、住まいと通学の費用を合わせて抑えやすい。進学を考えているなら、IELTSやケンブリッジ英語検定の対策コースがあるかも見ておきたい点です。
働きながら滞在したいならワーホリも選択肢
語学留学の間は働けませんが、18〜30歳ならユース・モビリティ・スキーム(YMS)という選択肢があります。イギリス版のワーキングホリデーで、最長2年、学校に通いながら働くこともできます。日本人の定員は年6,000人で、2024年から先着順です。
ロンドンの生活費を、現地で稼ぎながらまかなえる数少ない方法です。条件や他の英語圏との比較は英語圏で仕事が見つけやすいワーホリ先5か国にまとめています。
医療については、ビザの申請時に医療保険料(IHS)を払うと、滞在中はNHS(国民保健サービス)を使えます。到着したら住まいの近くのGP(かかりつけ医)に登録しておくと、体調を崩したときに慌てずに済みます。ETAで渡航する6か月以内の滞在はNHSの対象外なので、海外旅行保険に入っておく必要があります。
ビザの種類と条件
| 目的と期間 | ビザ | 主な条件 |
|---|---|---|
| 語学留学(6か月以内) | 電子渡航認証(ETA) | 申請料20ポンド。2年間有効で、1回の滞在は6か月まで |
| 語学留学(6か月超〜11か月) | 短期留学ビザ(Short-term study visa) | 申請料228ポンド+医療保険料。延長不可 |
| 大学・大学院 | 学生ビザ(Student visa) | 入学許可と、学費・生活費の資金証明が必要 |
6か月以内ならETAで渡航できます。日本人は2025年1月からETAの取得が必要になり、申請料は20ポンドです。短期留学ビザを含めて、語学学校に通う間は働くことができません。
学生ビザでは、学費に加えて生活費の資金証明が求められます。ロンドンで学ぶ場合は月1,529ポンド、最大9か月分。ロンドン以外の地域より高く設定されていて、ここにも生活費の差が表れています。
費用で気をつけたいこと
ロンドン留学で最も重いのは家賃です。シェアハウスの一部屋でも月1,000ポンド前後になることが珍しくなく、中心部に近いほど上がります。ゾーン2〜3の住宅地に住み、交通費と家賃の合計で比べるのが現実的です。外食も高いため、食費を抑えるならテスコやセインズベリーズといったスーパーで食材を買い、自炊を中心にするのが基本になります。
羽田・成田からヒースロー空港へは直行便で14時間半ほど。時差は9時間で、3月末から10月末の夏時間の間は8時間になります。
無料の美術館、学生割引、市場での買い物。ロンドンは出費の大きい街ですが、使い方しだいで生活費を抑えられる余地もあります。英語圏の他の都市と比べるならニューヨーク留学の8つの特徴やオーストラリア留学の6つのメリットも参考になります。
高い家賃と引き換えに、無料の美術館と多様な英語がある街
ロンドン留学の価値は、教室の外にあります。無料で入れる美術館、劇場、市場、そして地区ごとに違う英語。街全体が教材になる都市です。
その代わり、家賃と生活費は高く、語学留学の間は働けません。期間を決め、使うビザを決め、住む地区を決める。この順番で計画を立てると、費用の見通しが立ちやすくなります。
出典:英国政府(GOV.UK)「Study English in the UK(Short-term study visa)」、英国内務省「Electronic Travel Authorisation factsheet(2026年4月)」、Transport for London。数値は2026年9月時点






