参考書の自炊はやめたほうがいい?データ化のメリットとデメリットを整理

参考書をスキャンしてデータ化する、いわゆる自炊。留学や長期滞在で荷物を減らしたい人が検討する方法です。

判断の前に、法的な前提を確認しておく必要があります。自分が購入した書籍を、自分で使う目的でデジタル化することは、私的使用のための複製として扱われます。

ただし、データを他人に渡す、共有する、アップロードするといった行為は私的使用の範囲を超えます。また、業者に代行を依頼する形態については、過去に裁判で争われた経緯があります。

先に押さえる5点

  • メリット:持ち運び・検索・バックアップ・省スペース
  • デメリット:作業の手間・読みづらさ・端末依存・データ消失
  • 自分が買った本を自分用にデータ化するのは私的複製
  • 共有・配布・アップロードは範囲外
  • 代行業者の利用は法的な議論がある

メリット1
荷物が消える

最も分かりやすい利点です。

参考書は重い。文法書、単語集、問題集を揃えると、それだけで数キロになります。留学で航空機の重量制限と向き合うとき、この数キロは大きい。

データ化すれば、端末1台に何十冊でも入ります。現地で買い足した本も同様に扱える。

帰国時の荷物も軽くなります。現地で買った書籍を持ち帰るには、別送か超過料金がかかることがある。

メリット2
検索できる

スキャン時にOCR処理をかければ、文字を検索できるようになります。

これは紙にはできないことです。「あの説明はどこに書いてあったか」を探す時間が、ゼロに近づく。

複数の参考書を横断して検索できるのも大きい。同じ文法事項が、どの本でどう説明されているかを並べて確認できます。

メリット3
書き込みと
複製が自由

デジタルなら、同じページに何度でも書き込めます。消して、また書ける。

問題集を複数回やる場合、紙だと一度書き込むと再利用できません。コピーを取る手間が発生する。データなら、元のファイルを複製するだけです。

メリット4
バックアップが
取れる

紙の本は、失くせば戻りません。水濡れ、盗難、置き忘れ。

クラウドに保存しておけば、端末を失ってもデータは残ります。海外で荷物を盗まれた場合、この差は大きい。

デメリット1
作業の手間

最大の障害です。

裁断機でページを切り離し、スキャナーで読み取り、ファイルを整理する。1冊あたり30分から1時間かかります。

裁断機とスキャナーの購入費も発生します。数冊のために揃えるなら、費用対効果は合いません。

そして裁断すると、元の本は戻りません。処分するか、バラバラの紙束として保管するかになります。

デメリット2
読みづらさ

画面で読むのは、紙より負担が大きい。

参考書は、見開きで全体を把握しながら読む場面が多い。画面のサイズによっては、この読み方ができません。

前のページに戻る、付箋をたどる、複数のページを同時に開く。紙なら直感的にできる動作が、画面では手間になります。

目の疲労も蓄積します。長時間の学習では、この差が効いてくる。

デメリット3
端末に依存する

データは、端末とアプリがなければ読めません。

充電が切れれば読めない。端末が壊れれば読めない。アプリの仕様変更で開けなくなる可能性もあります。

汎用性の高い形式で保存しておくこと。特定のアプリでしか開けない形式は避けたほうがいい。

デメリット4
データを
失うリスク

バックアップを取っていなければ、端末の故障で全部を失います。

紙の本を1冊なくすのと、数十冊のデータをまとめて失うのとでは、損失の規模が違う。

クラウドと外部ストレージの両方に保存するのが基本です。ここを省略すると、メリットが一瞬で消えます。

著作権について

整理しておきます。

自分が購入した書籍を、自分で使う目的でデジタル化する行為は、私的使用のための複製にあたります。

一方、作成したデータを他人に渡す、共有する、インターネットにアップロードする行為は、この範囲を超えます。

電子書籍として販売されているものをコピーする行為も別の問題です。技術的な保護手段を回避する行為には制限があります。

自炊代行業者の利用については、過去に出版社が訴訟を起こした経緯があります。判断が分かれる領域なので、利用を検討する場合は現在の状況を確認してください。

やるべき場合
やめるべき場合

判断の基準

  • やる価値がある:長期の海外滞在で荷物を減らしたい
  • やる価値がある:同じ本を何度も使い、検索したい
  • やめたほうがいい:数冊だけのために機材を買う
  • やめたほうがいい:電子版が販売されている本
  • やめたほうがいい:書き込みながら紙で学ぶ習慣がある

電子版が売られている本は、素直に買い直したほうが早い。自炊の手間と機材費を考えれば、多くの場合そちらが安く済みます。

実際に
やるなら

自炊を選ぶ場合の手順を示します。

機材は、裁断機とシートフィーダー式のスキャナーが基本です。両方揃えると数万円かかります。レンタルサービスもあるため、冊数が少ないならそちらを検討してください。

スキャンの設定では、解像度とファイル形式を決めます。文字が読めれば十分なら300dpi程度、図版が多い本ならそれ以上。OCR処理をかけると検索できるようになります。

ファイル名の付け方を統一しておくこと。書名、著者、分類。後から探せる形にしないと、データの山ができるだけになります。

保存は最低2か所へ。クラウドと外部ストレージの両方に置いてください。片方だけでは、失ったときに戻りません。

その本、電子版が出ていないか

自炊は、荷物と検索性の問題を解決する一方、作業の手間と読みづらさという代償があります。

検討しているなら、まずその本の電子版が販売されていないかを確認してください。電子版があるなら、話はそこで終わりです。

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